能登の未来

FUTURE

自然とともに生きる街

  • Facebook
  • X
  • LINE

投稿者

大澤瑠真

僕自身は金沢に住んでいて、能登に行ったことは数えるほどしかありません。
それでも能登にはまるでずっと住んでいたような、とても強い愛着を感じています。

能登の魅力は、街と、人と、時間の流れと、すべてが穏やかなところにあると思っています。普段の忙しない生活の中では、自然と抜け落ちてしまう小さな幸せを教えてくれる不思議な場所です。

能登の生活は自然の厳しさを感じさせます。
でも全く悲観的ではなく、むしろ自然の営みを受け入れ、協調している感を得ました。
自然の厳しさに負けることもなく、自然を不必要に破壊して優位を示すわけでもなく、調和を取ってゆるく繋がり合いながら生きている。そんな意味ではこの地震の復興過程さえも能登にしかできないことなのかもしれないとさえ感じます。

ふらりと立ち寄った「外」の人が、「内」の人と、さも昔なじみであるかのように語り合える、そんなおおらかな気持ちにさせる風景が能登にはあります。百年後の能登でも、僕のような高校生が、海岸に打ち寄せる波の音を聞きながら、沈んでゆく夕日の美しさに心奪われ、日がすっかり落ちて、真っ暗な空いっぱいに広がる星空に励まされるような、そんな街であって欲しいと思います。効率や便利さばかりを重視する生活に疲れてしまった人、能登の風景に救われる人はきっと少なくないはずです。そうした誰かの心の支えとなる場所でいてほしい。決して安易に便利さを求めることなく、小さく小さく積み上げてほしい。というのが復興にあたっての僕からのお願いです。

また、復興の過程を記録として残してほしい。もっと言えば、ただの記録ではなく、常に更新され、今と、過去と、自然と、人とのつながりが可視化できる形が理想です。能登は祭りが発達しています。祭りは様々な側面がありますが、1つに祖先たちの叡智の結晶であり、物語の語り手、すなわち記録としての側面を持ちます。ここからの百年、能登は間違いなく深化する。だからこそ、一部の人しかアクセスしないデータの集積で終わってはもったいない。メディアアートを志す表現者の卵として、今を語り、知識と経験を集め、新しきに繋ぐ営みも同時に大切になると思うのです。

  • Facebook
  • X
  • LINE
TOP