能登の未来

FUTURE

なんでもない。が、ずっとある。

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投稿者

於茂田恵一

なんにもない。と、思っていた。
出張でもなければ、縁のない場所だったから。
“さと山”なんて名前のついた空港から続く能登の道は、
やっぱり、なんにもなかった。
なんでもない山並み、なんでもない川、なんでもない景色が続いた。
木ノ浦についた。
なんでもない海、なんでもない星空を、“ずっと”見ていた。
なんでもない“おいしい”ご飯を食べながら、
なんでもない”そこ“にいる人たちと接している
なんでもない“時間”に、心がむずがゆくなった。
なんでもない。は、何にも代えられない。
その代わらない“なんでもない”をくれる、
能登の海も山も人も。
また逢いたいな。
なんでもない。が、ずっとある。

【補足】
関東在住の於茂田さんが初めて珠洲市を訪れたのは2021年の4月でした。
山の中を抜けて到着したのは能登半島の突端に位置ずる木ノ浦ヴィレッジ。
その場所に数日間滞在していた際の記憶をもとに書かれたものです。
何もないただの田舎と思っていましたが現地に到着し、車で山の中から抜けて、目の前に開けてきた美しい海の見える風景の場所が特別な場所に変わるのに時間がかからなかったと言います。
視界いっぱいに広がる美しい海や灯りで遮られていない満天の星空を1人で眺めていると本当に心が洗われたそうです。
そこには都会の早い時間の流れとは違う、スローな自分だけの時間がありました。
地元のおばさんが差し入れてくれた朝どれのイワシは決して高価なものではありませんが
人情という温かみが加わったとても美味しいごちそうでした。
何もない、でも何にも代えがたい能登がそのままの姿でずっと続いてほしいという思いを
文章と冒頭のキャッチフレーズとして表してくださいました。

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