能登の未来

FUTURE

能登の未来の農業(新旧ミックスアップ)

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投稿者

川上和孝

能登は平成23年に世界農業遺産に認定され、伝統的な農林水産業と文化、生物多様性などが相互に関連し一体となった、今後も継承していくべき農林水産業システムが構築された地域である。それが令和6年度能登半島地震によって、継続が極めて困難な状態になっている。農業も漁業も林業も、能登の代名詞というべき祭りも、今後どういった形にするか、皆で知恵を出して再構築あるいは刷新する必要がある。
 その中で、能登の農業について。
私は、平成19年に里山マイスター一期生として入構し、同時に石川県の企業農業参入第一号として、㈱スギヨファームの経営の一翼を担ってきた。現在、七尾市能登島、穴水町鹿波、志賀町香能の3地区の農場と、七尾市内に野菜カット工場を運営している。すべての場所にて、1月の地震によって農場の農業用水の断絶、建物の甚大な被害を被った。回復まで相当な時間がかかる。あるいは野菜カット工場の被害の状態を鑑みると移設が必要とも考えている。
 こういった中、能登の未来の農業はどうなるのか、どうしていきたいのか。
 里山、棚田の景観、能登で育んできた農業技術と、農業IoTがミックスされた、攻めの農業を、スギヨファームは展開していきたい。能登の赤色土壌は粘性が高く、保水性、保肥性があるため高品質な作物を栽培できるが、作業性が非常に悪く、生産者にとってはデメリットが多い。スギヨファームでは、その土壌を石川県内の企業と組んで、土壌改良の試験を進めてきた。結果が良好だったことより、来年度から農水省の補助金を活用して大規模な整備を計画していた。地震はあったが、復興補助金と抱き合わせて、さらに広範囲での試験を考えている。そのほか、ドローンを用いた省力化、潅水システムによる省人化を進める計画である。
 能登の農業は、中山間地域でのスマート農業のモデルケースになりうると思う。復興において、ただ再建するのではなく、未来につなげる農業の形を構築していきたい。

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