能登の未来

FUTURE

私たちは能登ネイティブである~能登の新しい未来へ

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投稿者

中川奈々子

豊かな手つかずの自然、海と里山が最大の魅力の能登を「生きる土地」として再生していくには、どうするべきか。
今から経済的に発展するためには、大きな工場を誘致したり、原発を稼働させたりすることでは間に合いません。工場地帯や経済特区は、すでに東京、名古屋、大阪などにあり、今からそこを目指しても、結果を出すことはとても難しいことでしょう。
私は、この最大の宝物「風土」を「能登」を、生きたまま大事に未来へそっと託していく道を探したいのです。

私たちは独自の世界観をもって、「誰もが憧れる能登」として新しく立ち上がるしかありません。持っているものを見直し、価値を見出し、共有することです。
自分たちの能登ではない、日本人、また世界の人にとっても、開かれた共有財産としての「みんなの能登」である必要があるのではないかと考えます。
能登にはその魅力と底力、ポテンシャルが十分にあります。
この「美しい能登」を、壊すことなくそのままの姿で子供たちに残すために、まるで屋外美術館のように、生きた水族館のように、そして壊れやすいガラス細工の宝石のように、まるごと保存していければと思っています。
それらを実現させるためには、これらを「生業」へと転換していかねばなりません。自分たちの暮らしと生きる術を、分け与え、オープンにし、共有財産として守っていくのです。
滞在型観光特区として、フォーリナーを受け入れて丸ごと共存していければと思うのです。
幸い、この能登にはそれらを守り慈しみ、生業としている人々が暮らしており、いわばその人たちが先生です。
生きている「能登ネイティブ」そのものを、パフォーマンスとして、エンターテイメントとして、提供するのです。
海には海の生き方を熟知した漁師さんたちがいます。
彼らに海での生き方、海での礼儀作法、船の生活、漁具の取り扱いを教わります。
そしてクルーズ、ハンティングやウォッチング、もちろんマリンスポーツももっともっとバックアップしていくべきでしょう。
漁業権を限定にしても開放し、誰が来てもアドベンチャーが楽しめるようにします。
春を告げるわかめ狩り、夏の素潜りでさざえ拾い、真冬のなまこ狩り…今は漁業権に守られているがために一般の人々が手にできないアクティビティを、限定的にでも共有できるシステムを作るべきではないかと思います。実際、限定的に一日漁業権を販売することで、賑わいを取り戻している地域があります。
地域住民で独占するのではなく、訪れるすべての人へ、同じ故郷を持つ者として、暖かく受け入れ開放するのです。
このままでは、その海の知恵も、いずれ廃れてしまいます。
山の暮らしにも、四季折々の十分すぎる魅力、暮らしの作法、その時々の豊穣があります。狩猟やきのこ狩りなどの山遊びもいいでしょう。
海外の人にとっても、手つかずの自然とネイティブの暮らしは大変に興味深いものになっています。
それはどんどん失われていき、しかも途絶えたらそれは死んでしまうも同然だからです。
生きていることが大事であり、また魅力なのです。
もちろん将来に向けて、病院や学校やインフラの整備などいろいろと手を回さねばならない問題はたくさんあります。
しかし、大きなかじ取りは、今なのではないかと思うのです。人を招き入れることを恐れず、美しい「能登」を独り占めしない。
すべての人を歓迎し慈しみ抱きしめてくれる、母なる「能登」として、衣を整えてあげたいのです。

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