能登の未来
FUTURE
投稿者
中川裕介
石川県七尾市にある寝具店「スリープイン」を営む中川さんに、能登復興への想いと寝具の持続可能な未来についてお話しを伺いました。
「被害は少なからずある。日常が戻ってきたかな」
能登はやさしや土までも。能登人の強くて優しい人情を表すことわざがある。
震災後中川さんの目に飛び込んできたのは、先にどうぞと声をかけあうご年配の姿。手と手を取り合いながら生きてきた能登人の芯の強さを改めて感じたそうです。
寝具を通して能登再生を目指す
眠りのトータルサポートを行う「スリープイン」では、復興支援の取り組みのひとつにグリーンダウンプロジェクトに加盟している。
店頭にて羽毛の回収を行い、解体、洗浄し、新たなリサイクルダウン製品に生まれ変わることで資源を再活用する仕組み。「スリープイン」で再生する際に得られる収益は、義援金として和倉温泉観光協会に寄付し、積極的に復興活動を行っています。
今回の被害で使用できなくなった羽毛布団も引き取り対象だそうで、災害廃棄物の負担軽減にも繋がる素晴らしい取り組みです。
参考URL:Sleep inn(https://sleep-inn93.com/)、Green Down Project(https://www.gdp.or.jp/)
年間1億枚の寝具が廃棄
毎年1人1枚は捨てている計算になる。その多くは焼却処分されており、寝具のリサイクル率はわずか2%ほど。
「寝具を使って環境にも人にもやさしい能登であってほしい。」
引き続きグリーンダウンプロジェクトを通して羽毛製品の再利用を促進していくそう。そして私たち消費者はこの循環フローを知った今、できることから始めたい。
ごみにならない素材でものづくり
現在「スリープイン」で販売しているマットレスには生分解のできるラテックス素材を採用。マットレスのスプリング部分は金属ではなく木製を使用するなど、自然原料を盛り込んだ構造となっている。新規で販売するものは廃棄物にならないものを生産し、環境に配慮したものづくりを心がけているそう。
睡眠の質をあげるだけでなく、サスティナブルな寝具に一度身を沈めてみたい。
珪藻土をつかった新しいプロダクト
珠洲の地層は珪藻土の埋蔵量がとても豊富で、珠洲焼、珪藻土七輪などの伝統工芸品につかわれている。中川さんはこの珪藻土に着目し、能登ならではの生地を用いて新たなプロジェクトを進行中だそう。ローンチ前なので詳細は明かせないが、寝具業界の未来は能登産のものであふれているかもしれない。
最先端をいく未来都市に
珠洲市は、北陸三県の自治体で初めて、計測機器メーカー「タニタ」の子会社と連携。
活動量計で運動量や消費カロリーを測り、健康づくりに役立てるプログラムとなっている。
「そういった先進技術を活用し、各企業が取り組みを試せる場、モニター地域として手を挙げることで、全国に先立った最先端の未来都市モデルとして誕生し、珠洲市発祥のまちづくりケースが全国の注目を集めることを期待しています。」
ふるきをたずねて新しきを知る
七尾市にはのとじまをはじめ、水族館や美術館などの文化歴史を体験できる観光スポットが多く、なかでも和倉温泉は日本を代表する温泉街として有名です。
「自然豊かでいいけど、最先端テクノロジーも必要。高齢者に優しい暮らしと、高齢者を支える若者が増えて欲しい。」
穏やかな声色で話す中川さんの思い描く能登の未来は、カラフルだ。
安心安全を掲げて、観光客が気軽に来訪できる場所として続いていくために、これからも地域の方と手と手を取り合い、未来に向けて新旧のグラデーションを彩り始めていく。