能登の未来
FUTURE
投稿者
水上りょう
先日、父からこんなことわざを教わった。
「人間万事塞翁が馬」
当時貴重であった馬が逃げてしまっても仲間を連れて帰ってきたり、息子が落馬して怪我をしてしまっても戦に行かずに済んだりと後々いい事が返ってくるというような中国の故事成語だ。
人生における幸不幸は予測しがたいということ、幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるか分からないのだから、安易に喜んだり悲しんだりするべきではないという例えである。
今の奥能登は、地震が起き、多くの人が亡くなり、今まで通りの当たり前の生活が出来なくなり、まさに絶望的な状況だ。被災していない人は気の毒だな可哀想だなと思うであろう中、私は進学先で料理をより一層頑張ろうと決意するきっかけとなった。そして、いつか私の料理で地元に幸福をもたらしたい。
私は、来年度4月から辻学園調理・製菓専門学校の上級調理師科2年制に通う予定だ。数ある調理専門学校の中から、その学校に決めたきっかけは、父親の一言である。「目指すなら上を、名のある有名な学校に進学した方がいいんじゃない?」と言われ、日本の中でもトップクラスの学校を選んだ。
1年時に、西洋・中華・日本料理の基礎を学び、2年時からは、1つを選択し専門的に学んで行くが、そこで私は西洋料理を極めたいと考えている。そして、父親から助言されたように上を目指すと決めたからには徹底的に頑張りたい。
具体的には、1年生と2年生の後期に学校側が主催をする海外研修がある。そこでは、フランスやイタリアなどのヨーロッパに行き、西洋料理の本場の味を体験する場である。私は、海外研修に参加し、日本のみではなく色々な各国の味を体験することが、一流を目指していく上での大切な経験値となると思う。
私は避難所生活を送る上で、災害発生直後は菓子パンやカップラーメンなどの簡単に食べれるが消化に良くない物ばかりで、胃が不調を起こし全然食べれなくなった。でも、何か食べないと、動く気力も起きないし体調はずっと悪化する一方であった。だが、飯田高校での炊き出しで手作りの焼きそばと中華スープを食べた時は、いつも以上に美味しく、お腹も心も幸福に満ちた。
ご飯を食べることは人間が生きる為の本能であり、誰しも必要なものだ。だから、私の大好きな料理という形で地元の皆さんに生きる力を与えたい。私は料理を専門とするが、違う分野を専門とする学生と共に、お互い違った視点を持つことで、より良い案を出せるだろう。