能登の未来

FUTURE

活気にあふれ伝統ある祭りを継続できる地域

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投稿者

坂本妃菜

 私が令和6年能登半島地震の被害をうけた能登半島において、100年後でも能登名物の祭りが毎年開催される場所であってほしいと願う。
 能登は、富来八朔祭礼、石崎奉燈祭、輪島大祭などの30個以上祭りが開催され、祭りを愛する地域である。私は、志賀町富来の出身であり、幼いころから富来八朔祭礼に親しみがあり、毎年、祭りが執り行われることを楽しみに日々を過ごしていた。夏の暑い日に「ドンドコ」「カンカン」といった太鼓と鐘の音が鳴り響き、その奥で聞こえる祭り唄ほど心躍るものはない。成長し大人になった今でも、あの音を聞くと、子どもの頃のようにはしゃいでしまう、ふるさとの音色である。祭りは富来に住む者だけでなく、地元を離れた富来出身の者にとっても非常に重要な行事であり、祭りに参加する為に帰省する者も多くいる。そのため、祭りに行くと、普段は出会えない顔なじみにも出会え、再会の良い機会ともなる。祭りに参加して多くの仲間と協力してキリコを担いだり、祭り市(屋台)、婦人会の方々の差し入れのおにぎりを休憩中に並んで食べたりすることで、「富来っていいな、地元って最高だな」と改めて実感する。しかし、2020年新型コロナウイルスの感染拡大により、富来八朔祭礼を始め全ての能登の祭りが影響を受け中止を余儀なくされた。この事実に私はもちろん多くの住民がショックを受け、やりきれない思いで毎日を過ごしていた。「生きがいをなくしてしまった」という声も多く聞かれた。2023年の夏の八朔祭礼では、待ち望んだ3年ぶりの開催ということもあり例年以上の盛り上がりを見せた。祭礼で楽しむ人々の姿を見た時、富来には、能登には、祭りは欠かせないものであると改めて実感した。
 なお、今回の令和6年能登半島地震により、能登地域は大きな被害を受け、私の地元の富来は最大震度7を観測したということもあり、祭りの継続が危ぶまれる状況にある。ただ、コロナ後の八朔祭礼で感じたように、やはり祭りは能登に欠かすことができない重要な文化である。コロナウイルスの3,4年間を我慢し、乗り越えることが出来たのは、祭りを愛する住民の強い思いやこれまで継続されてきた祭りの伝統の力があったからこそであると思う。私はこの住民の思いと伝統の力を信じ、継続できることを強く願う。地震直後の今、最優先事項は住民の生活を少しでも今まで通りに戻せるようにすることである。そのため今はこれに専念し、何年先になるかは分からないが、また祭りが再開でき、活気ある能登半島であることを願いたい。

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