能登の未来

FUTURE

未来の珠洲に思うこと

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投稿者

新出利幸

・100年後の能登が、どのような場所であって欲しいか?
「壮大な話ですね、100年後か。10年・20年というスパンで言うと、災害はどうしても防ぎようがないので、災害と共存したようなまちづくりが進み、その様なまちで生活していくようになったら良いとは思いますね。災害とともにまちを作っていくという感じですね。それが10年、20年、30年続いて、100年後にはそれが忘れられて、また人間が堤防を作ったりして自然を支配しようとする感じになっていくのかなと思いますね。」

・人間が自然を支配しようとするという動きに対してどうお考えでしょうか?
「地震や川の洪水などの水害というものは、人間の力である程度までは防ぐことができるんですけど、ある程度の基準を越えちゃうとどうしても制御しきれない部分があると思うので、“こうなったから、じゃあこうしよう”という様にどんどんバージョンアップしていくことが大切だと思います。起きてしまったことにくよくよせず、一つずつ前に進めていければ良いと思いますね。一変に全てのことが解決するわけではありませんからね。そして、ハード面ではできないですけど、避難訓練などのソフト面を充実させていけば、特に人的被害っていうのは少なくなっていくので、そういったものに重点を置いて、今後、防災意識を高めていったら良いと思います。それでその意識がありながらこの地域に暮らしていくっていうのが理想形なんじゃないかな、とは思いますね。」

・孫やひ孫に残したい能登は、どのような未来か?
「孫やひ孫、私はまだ子供しかいないんですけども、子供達には、自然っていうものは圧倒的で、こういう災害が起きたとしても今もう春が来て桜が咲いてっていう様に四季が常にこう移り変わっていっているので、そういったものの享受を受けながら、生活の糧としてできていけばいいかなって思いますね。人間の一番の贅沢は、物欲とかものを頂くことではなくて、四季を感じられること、それが人間にとって一番幸せなことだと思うので、そういったことを守りながら、生活できる環境であってほしいなと思います。」

・能登の未来に向けて、自分はどんな行動をとりたいか?
「今現在は震災が起きて二ヶ月目なので、とりあえず今、自分のできることをやっている状態です。1月1日の震災があって、14日までは自主避難所の運営の方に回っていました。14日からは業者が入ってこられていないので仮設住宅を作っています。住むところがないと人口流出が止まらないので、とりあえず第一期工事や業者の手伝い、認可集めなどをしていました。今は第一期工事が終わって少し落ち着いている状態ですが、二ヶ月目ということもあり、まだ見えていない部分が多いですね。」

・能登らしい能登とは、どんな場所か?
「能登らしい能登っていうのは、多分、資本主義経済から離れたところにあると思うんです。お金も経済を回すことも大事ですけど、対極的な物々交換だったり、そういった資本主義経済以外のところに価値がすごくあると思うので、これらのハイブリットのような形の地域づくりができたら良いなとは考えています。例えば、ご近所さんにものをあげたり、ものをもらったりっていう、近所づきあいはお金には代えられない価値なので、そういったものが能登らしいといえば能登らしいですよね。」

・ほかに後世に伝えたい、残したいというものはありますか?
「自然との共存ですね。自然の恵みを享受できないような地域になってしまってはいけないんだろうなっていうのが、私の考えの核心部分ですね。人工物をいっぱい立ててしまうと、やっぱり地形も変わってしまって、潮の流れとかも変わってしまったり、あとは獲れる魚とか獲れる野菜も変わったりしてしまいますよね。今の資本主義経済社会だと、どんどん公共物を立てるっていう話になってくるんですけれども、そういうお金のとり方ではなく、自然と共存した、もっと自然との循環型の社会を作れるような地域にしていければ良いです。震災が起きて、本当に今何もなくなってしまった、0ベースの状態だからこそ、循環型社会を実現できるようなまちづくりができると思っています。

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