能登の未来

FUTURE

リバース・イノベーションを能登から

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投稿者

藤岡慎二

能登は、少子高齢化や人口減少、財政難など地方が抱えるすべての問題が詰まっている課題先進地域です。地震でますますこれらの地域課題に拍車がかかりましたが、問題が山積みだからこそ、世界最先端の問題を解決するヒントが詰まっています。

僕はこれまで、教育を通じた地域の活性化を目指し、高校魅力化プロジェクトに代表されるような教育改革に携わる中で、地方が抱える問題もたくさん見てきました。

地方が衰退する理由として、地方から都市部への人口流出が挙げられます。これは地方に限ったことではなく、今や世界中どこでも起こっている共通の問題です。

仕事とチャンスを求めて、人が地方を出ていけば、インフラが維持できなくなり、まちは衰退します。そうすればさまざまな活動がしづらくなり、アイディアやイノベーション、挑戦が生まれにくくなる。産業が衰退し、仕事やチャンスがなくなる。その状況を憂う意欲的な人材は、みな都市部に移動してしまう。こうした悪循環が続くことで、都市部と地方の格差はどんどん開いていきます。

この先、地方が衰退しないためには、いかに外貨を獲得するかが重要です。
能登を支えてきた一次産業や観光業も大切ですが、いよいよ第三の道を本気で模索するフェーズに突入しているのではないでしょうか。

僕は、能登が生き残る糸口は「リバース・イノベーション」だと思っています。

「イノベーション」と聞くと、都市部で生まれたものが地方に流れてくる、というイメージが強いかもしれませんが、実は地方からイノベーションが生まれる例も世界にはたくさんあります。例えば、リーバイスのジーンズ。過酷な労働環境に耐えるために丈夫な素材で作られ、ヘビ避けに有効とされる天然のインディゴで青く染めたものがファッションと機能性の面で人気を博し、世界中で親しまれています。
また、僕が2009年から参画している「高校魅力化プロジェクト」もその一つです。地域の高校を魅力化し、地域そのものを復活させたいと始めた取り組みですが、鳥取県の離島の高校をきっかけに全国へ広がり、今では国内50地域で展開、海外からもノウハウを知りたいとの問い合わせがきています。

「リバース・イノベーション」の先進事例としては、サン・セバスチャン市(スペイン)が挙げられます。美食の街として知られるまちですが、食を中心に据えた新しい産業を生み出すため、リビングラボ(実験の場)をつくり、食における課題をITで解決するソリューションを作っています。

このように、課題に直面することが多い地方には、外貨を生む種がたくさん転がっています。それらを製品やサービスに落とし込み、日本や世界に拡販していく。僕は「(資源などの)制限のある地方こそ、新たなイノベーションが生まれやすい」と確信しています。

世界はそう遠くないはず。
今までの概念に捉われず、常に意識を外に開いて、オープンマインドでいよう。
そして、課題の中から外貨の種を見つけて、実験を繰り返そう。
課題先進地域・能登から、日本、世界に進出するソリューションを生み出して行きませんか。

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