能登の未来

FUTURE

自然と共生し、心豊かに人が住む地

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投稿者

坂下健二

能登は、言うまでもなく「世界農業遺産」に日本で最初に認定された地であり、豊かで多様性のある里山・里海があり、そこに、心やさしい人々が暮らしている。
しかしながら、今回の能登半島地震以前からではあるが、燃料環境の変化や老齢化等による人手不足等から、豊かな里山が失われ、それにより、川を通じ海へ供給されていた栄養素が減少し、里海の豊かさも失われつつあり、そして、各農家における「はざ干し」や「あえのこと」等が失われてしまった、と感じていた。
母が行っていた「あえのこと」やキノコが豊富に採れた里山、海に潜れば手づくりのモリで魚が捕れた里海を知る者として、正直、今の能登は、本当に「世界農業遺産」の地と言えるのだろうか、と感じていた。「珠洲を離れた者が無責任に言えるのか。」とお叱りを受けそうですが…

そんな中、この度の大地震。地震以前から人口減少傾向であったが、この度の震災は人口流失を加速し、人口流失は、産業の活力を失い、豊かな自然が失われ、また、伝統行事の継続を危うくするのではないか。手をこまねいて、嘆くだけでなく、今、行動を起こし、「世界農業遺産」である能登の生物多様性のある里山・里海等をしっかり取り戻し、伝統技術を継承し、未来の人たちに引き継ぐことが今の世代の責務であると考える。50年、100年先において、珠洲(能登)が、「自然と共生し、心豊かに、住む地」であるためには、愚直に先祖から引き受けた、この豊かな土地や自然、伝統行事等を継承し、この土地・自然を守り、「生活していく」ことが大切だと思う。勿論、自然災害に細心な対策を講じたインフラと住環境を整備する前提が必要ではある。

インフラ整備は、行政にお任せすることとし、個人的な具体策としては、珠洲に心を残し、やむなく珠洲を離れた人達の田畑を借り受け、地場野菜や果実等を育て、通販を販路として、安心・安全な作物を主に都市部に届けることとしたい。それと併せ、珠洲に残り、頑張って農作物等を育てている人から、それらを集荷し、この販路に乗せ、販売を手伝うこととしたい。それにより、人が「生活」していき、豊かな土地・自然を守っていくことに貢献したい。「なんだ、そんなことは、誰でも考えることだ」とか、あるいは、「もう既にやっているよ」と言う人がおられるかも知れない。しかし、私には、聞こえてこない。「もう既にやっているよ」という人がおられるなら、その人々と一緒に、私のアイディアを実行したい。「いない」なら、志のある人と一緒に実行したい。しかし、私は珠洲を離れてから余りにも時間が経過し、珠洲に生活基盤がなく、また、残された時間も少ないため、残念ながら主体には、なれない。珠洲に生活基盤のある人々が主体となり、私はサポート役となり、ぜひ、一緒にやりたい。

また、関東や関西等に暮らし、珠洲の自然に魅力を感じる20代、30代に呼びかけ、都市部の若者を呼び込むことにより、地域の活性化を図り、副次的な効果として、微力ながら、人口減少の歯止めと小中学校の児童・生徒の増に貢献したい。
安心・安全な作物を主に都市部に届ける方策は、通販を販路とするが、単に、ネットで販売するのではなく、都市部に生活し、珠洲を応援していただく人々等を主体とした会員組織(珠洲応援クラブ)を構築し、その会員(法人・個人)に定期的に新鮮な農作物や水産加工物等を直接届けることとする。併せて、珠洲のトピック、季節の行事、地場野菜のレシピ、方言等を掲載したミニコミ紙(珠洲通信)を発行し、それを
お届けする会員(レター会員)をも募集することとする。幸い、珠洲(能登)には、人間関係という、大きな財産がある。この二種類の会員の方々の応援を得て、豊かな土地・自然を守り、50年、100年先へ届けたい。
この会員の方々を核として、都市部の人達に珠洲の季節の行事等を紹介し、珠洲と都市部を直接つなぎ、ファンを作り、交流する場を設けることなどにより、珠洲の産業や観光の活性化に貢献したい。
繰り返しになるが、それが、この豊かな土地・自然を50年、100年先へ届けることになると思う。

長年温めていたことを実現する具体的なアイディアがありますが、まずは、志のある人と一緒にやりたいが、いかがだろうか。

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